新しく、使いやすく、高度循環の効果が表現できる資源効率インフォグラフィクス READ(Resource Efficiency Account Diagram)

新しく、使いやすく、高度循環の効果が表現できる資源効率インフォグラフィクス READ(Resource Efficiency Account Diagram)

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従来の資源効率指標やサーキュラリティ指標のほとんどは、物質を循環さえすれば水平でもカスケードでも同等のサーキュラーな行為だとして取り扱われるものが多く、実際の製造業やリサイクル業で行われている高度リサイクルの努力は評価できないものでした。ひとつLCAはその行為に対する社会便益を機能単位としてシステム設定を行うことで、水平リサイクルやリユースの効果をそのシステムに亙る環境負荷の違いとして論じることができましたが、作業が煩雑であることと他の負荷因子も考慮対象に含まれるために、資源効率や循環の実用的な評価・表現には適していませんでした。このような中で、高度資源循環を表現できる新たな手法を開発しました。それが、READと名付けた資源効率インフォグラフィクスです。

従来の手法では、循環している物質の方に目が行くあまり、循環物を受入/提供する隣接システムとの区分けやアロケーションといった任意性の高い方法が持ち込まれて客観性のある評価ができませんでした。それに対し、この手法では、逆に、循環が良好ではないために失われている資源の価値(散逸:dissipation)とそのために自然資源に依存しなければならないもの(mining)の方を軽量し、それを非サーキュラー性(acircularity, a-は否を意味する接頭語)となずけて、それを軽量することとしました。

そのために必然的に、循環物を他のシステムに引き渡す際に、どれだけ資源価値を落として引き渡しているかという、循環の散逸を評価しなくてはなりません。その落とした価値のやり取りがマーケットで行われるとして、そこを共用段階(communization stage)と名付け、そこに取引されるスクラップの価値を導入しました。すなわち、水平に近い高度リサイクルを行えばそれだけ共用段階に対する資源価値の散逸を防いだ行為を行っていると評価できることになり非サーキュラー性をゼロの方向に進めることになります。

では、スクラップの価値はどうやって決めるのか。ここで、リサイクルには希釈型と抽出型があり、金は抽出型、鉄やアルミやプラスチック等は希釈型で行われます。希釈型の場合は目的品質を維持するためにはどの程度の希釈が必要か、つまり、どのくらい妨害性不純物を含んでいるか、ということがスクラップの質を決める大きな要因になるわけです。こうして、どのようなレベルで不純物管理をした循環を行っているかということで、非サーキュラー性=ゼロからの距離を測っていくことができます。

仮想的に自動車のリサイクルの例に適用した見たものは下図のようになります。

これは以下の3つのシナリオに基づいて計算したものです。

  • 現状 current
    鉄は、すべて棒鋼原料に
    工程くずは新断、使用済みはAプレス
    アルミはすべて鋳物
    プラはASRで回収せず
  • 高度リサイクル  ecodesigned
    工程くずを鉄アルミとも板材用レベルで提供
    EoLの鉄も、エコデザインで分離可能で品位アップ
    アルミも分離可能で板材原料に
    銅も解体設計で分離して取り出す
    プラスチックも一部MIXプラとしてたが回収
  • リファービッシュ  refurbished
    80%の素材は構造として再利用
    残りの劣化の影響が大きいところを取り換え

少しわかりにくいかもしれませんが、それらの違いを表にしたものです。

項目の右の38-42は出典番号で、

[38] AIST(2005)、Introduction of LCA evaluation software that evaluates material changes of automobile parts, Aluminum Association March 2005 Technical Committee document

[39] Industrial Structure Council Industrial Technology Environment Subcommittee Waste / Recycling Subcommittee Automobile Recycling Working Group / Central Environment Council Recycling Society Subcommittee Automobile Recycling Special Committee 35th Joint Meeting Explanatory Material Attachment 2 2011-2013 Automobile Recycling Advanced cooperation business Guidelines for recovery business of precious metals, etc.

[40] Yanasue, Database for Specific TMR, http://www.ritsmei.ac.jp/~yamasue/tmr/index_en.html

[41] Halada et.al, resource-end mass, NIMS material environment data collection 8, (2004)

[42] Veoria Jenets , Optimization of resin recycling system from ASR, report for Nissan global, https://www.nissan-global.com/JP/ENVIRONMENT/A_RECYCLE/R_FEE/SAISHIGEN/2017/PDF/report_asr_recovery_resin_recycle_process.pdf

です。

皆さんも試しに計算できるように、エクセルシートにしました。(冒頭の エクセルダウンロードから無料ダウンロードできます)

 

黄色の部分に、原材料、構成材料、再利用材料(使用しているもの、原材料からは差し引くこと)および工程スクラップ、使用済みスクラップの重量と、スクラップの不純物(鉄ではCu+10Sn, アルミではSi、プラスチックは再生目的プラスチック種以外)もしくは、含有率を入れます。

そして、エクセルのリボンにある刷毛マークをクリックして前の絵を消して

グラフまーくをクリックすると 下のような図が出てきます。

 

ピンクの部分が、仕事をしている材料 構成材料で、
オレンジが 天然資源に依存している部分、
茶色が 量的損失やカスケードリサイクルで資源の質が失われている部分です。

構成材料に対して、オレンジと茶色の部分がどのくらいの比率になっているかが、
私たちが、資源の利用にあたってサーキュラーな状態とどのくらいかけ離れているかを示す「非サーキュラー性(acircularity)」になります。

excelをダウンロードして製品や会社などで試してみてもらえると幸いです。

 

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